憧れの看護師になれたのに・・・新人看護師を襲う悩みとは
看護師になるために3年以上養成学校に通い、実習や勉強で遊ぶ時間もなく頑張って国家試験をパスして、せっかく憧れの看護師になれたのに、新卒看護師の1年以内の離職率は7.9%。
ここ数年新卒者の離職率は少し減少してはいますが、国家試験の合格者数が約52,000人程度ですから、3,500人以上の新人看護師が早々と職場を辞めていることになります。
仕事に関する不安
新人看護師の悩みで一番多いのは「仕事ができず自分に自信がない」という事です。 どんな職業でも新人の時は失敗や不安がつきものですが、特に看護師の場合は学校で学んできた教育のレベルと実際の医療現場で要求される能力には大きなギャップがあり、基本技術ですら一人で満足にできない事に自信を失ってしまうのです。その上、多くの新人看護師は入職後2~3か月以内に夜勤業務を始めています。仕事ができない状態のままで夜勤をこなさなければならず、ひとつのミスが医療事故を起こしかねないというストレスと不安は新人にとって相当なものです。
仕事を覚え、環境の変化に慣れるまでは毎日がつらくて「自分は看護師に向いていないかもしれない」「看護師を続けていく自信がない」と思い悩んでしまう事もあるでしょう。 しかし、これは誰でも通る時期なのです。今は仕事ができる先輩看護師だって、師長さんだって新人の頃があったのです。まずは『仕事を覚えること』に執着しましょう。
先輩看護師との人間関係の不安
新人看護師の悩みで次に多いのは、先輩看護師との人間関係です。新人に対して優しく指導してくれる先輩ばかりではありません。厳しく叱られる事もあるし、中には「こんなこともできないの?」「学校で何をしてきたの?」「使えない」などきつい言葉を使う先輩もいます。ただでさえ経験も技術も未熟なのに、毎日厳しく怒られると委縮してしまい、思うように動けなくなります。
多くの医療現場で新人看護師の教育制度としてプリセプターシップを導入しています。プリセプターシップは、一般的には一人の新人看護師(プリセプティ)に一人の先輩看護師(プリセプター)がついて、一定期間マンツーマンで指導・教育し、臨床経験を積ませるという教育方法です。
通常、プリセプターは3年目位の看護師が担当することが多く、プリセプター側もまだまだ仕事に余裕があるわけではありません。新人に教える経験を積ませることで更に成長してもらおうという意図もあり、教える側も忙しい日々の業務の中で悩みながらも役割を果たそうと努力しているのが現状です。
プリセプターとプリセプティのお互いの相性や関係が良い場合には共に成長でき仕事にも有益ですが、相性が合わないとか性格や資質に問題がある場合は、双方に余裕がない中でのマンツーマンの濃厚な環境が災いしてしまい、プリセプターとの関係に悩む新人看護士も多いようです。 どうしても相性が合わず仕事にも支障が出るようなら、師長など上司に相談してプリセプターを代えてもらうのが望ましいのですが、現状ではなかなかプリセプターチェンジもできず「不満を抱えながらも我慢する」さらに悪化すると「看護師を辞めてしまうという選択になってしまう事も少なくありません。
人間関係の問題は新人だけでなくいつでもついてまわります。 特に新人の頃は仕事ができない故の不安もあり、自らを客観視して問題の改善に努力したり、気分転換をしたりすることが難しいものです。
悩みは一人で抱えずプロに相談を
新人看護師の場合には職場にも慣れていないため、先輩や上司に相談することもできずに一人で抱え込んでしまう人も多いようです。 友人に愚痴をこぼしても気分転換にはなるかもしれませんが、解決するわけではありません。一人で考えても悪循環になるばかりです。 そうした場合には、ある程度事情を理解してくれる専門家に相談するのも一つの方法です。
ナースセンターの相談窓口
各都道府県には都道府県ごとの各看護協会が運営するナースセンターがあります。ナースセンターとは健健・医療・福祉サービスを提供する看護師・保健師・助産師を確保するため、これら看護職員の就業促進と、看護に関する知識向上を目指して実施・運営されている団体で、北海道・東京都・神奈川県・静岡県・愛知県・長崎県には支所もあります。 各ナースセンターでは、新卒看護求人者を対象とした新人看護師の悩み相談が行われています。経験豊かな相談員が新人看護士の様々な悩みを聞いてくれます。 それぞれの地域によって実施日・実施方法などが異なっているので、事前に確認し予約を入れる必要があります。
転職サイトのキャリアアドバイザー
転職サイトの中には具体的な転職活動の相談だけでなく、転職するかどうか悩んでいる看護師の相談に乗ってくれるキャリアアドバイザーがいるサイトがあります。転職サイトのキャリアアドバイザーは看護師の仕事内容や病院の内情にも精通しており、看護師ならではの悩みにも深く共感してくれます。しがらみもないので本音も言えます。 悩みを聞いてくれるだけではなく、解決に向けて同じ目線で考え建設的な提案もしてくれるので、頼りになる存在です。すぐに転職しなくてもいろいろな相談をすることも可能ですから、利用してみるのもいいでしょう。
毎日の業務を真面目に続けていれば、仕事にも慣れるしスキルは必ずアップするはずです。 一人で悩んで看護職を諦めてしまう前に、思い切って専門家に相談し、解決策を見いだしていきましょう。