病院以外での看護師の働き方。病気予防・早期発見など健康を支援する健診センター看護師
健診センターは主に健康診断・巡回健診・人間ドックなどを行っている医療機関で、日頃の健康づくりや疾患の予防・早期発見・早期治療を目的としています。
健診センター看護師の主な仕事は、採血や血圧測定・身長・体重・視力測定・胸部X線検査・心電図の検査などですが、巡回健診車で学校・事業所などに向かい、そこで健康診断を行うこともあります。
春や秋といった健診シーズンには健診センターの看護師だけでは人員が不足するため、短期間のパート・単発のアルバイト・派遣といった雇用形態で看護師を募集するケースも多く、フルタイムの常勤勤務が難しい看護師さんなどに人気があります。
健診と検診の違い
「健診(健康診断)は、企業・学校・自治体などで行われ、診察や各種の検査を通じて自覚症状のない病気を早期に発見したり、病気の危険因子がないかを調べたり病気の予防のために行われるものです。
一方「検診」は、特定の病気の有無を見つけるためだけに行われる検査で、「各種がん検診」「骨粗しょう症検診」「歯周疾患検診」などがあります。
健診看護師の仕事内容は?
健診業務は各事業所や学校などによって異なりますが、採血・血圧測定・検尿・聴力や視力検査・身長体重の計測・心電図・乳腺触診の指導等をはじめ、健診カードへの数値の記入や場合によっては、会場の設営準備・健診機材の搬入出・次の検査場所へのご案内など多岐にわたります。学校や企業の規模によって差はあるものの、1日で100人以上の採血を行うことも珍しくはありません。
健診は病気の人ではなく健康な人を対象に行うため、病棟勤務と違って容態の急変の対応などもなく、精神的にもそれほど緊張を強いられる仕事ではありません。業務の流れもほぼ決まっているため仕事の役割なども把握しやすく、比較的経験が浅い看護師でも勤務が可能です。
健診看護師として必要なこと
迅速で正確な採血技術
規模の大きな健診センターや巡回検診車での健診等は集団で行うことが多く、限られた時間内に正確な検査を行うことが必要です。ひとつの検査が滞ると他の検査や受診者に迷惑をかけることにもなります。健診で行う業務は多くが基本的な看護技術ですが、担当業務をスムーズに行うことが求められます。 特に採血は1回で成功して当たり前。血管が出ていないとか血管が細いなど血管選びに時間をとられてしまったり、失敗して2度3度と繰り返すとなると、クレームの対象になります。
受診者に対する丁寧な接遇対応
健診はサービス業的な側面があり、受診者への言葉づかいや対応にも気をつけなければなりません。受診者は積極的に健診を受ける人ばかりではなく、忙しい仕事の時間を調整して受診したり、健診自体に慣れていない人もいます。もちろん本人の体のためなのですが、健診時の看護師の対応や手際が悪かったりすると健診自体の印象も悪くなってしまいます。健診は定期的に受診してこそ意味があるもので、「また来年も受けよう」「健康に気をつけよう」と思ってもらえることも必要なのです。
また、学校健診の場合、高学年や中学生くらいになればスムーズに検査もできますが、小学校低学年の検査では、怖がって白衣を見るだけで泣いたり逃げ出したり、調子が悪くなって倒れる子もでてきます。子供を落ち着かせるコツや怖がらせない言葉掛けなども必要になってきます。
健診センターや巡回健診は土日が休みで日勤のみの仕事が多く、残業も多くはありません。機械のトラブルなどで検診が進まないことや検診の進行具合などで多少の残業があったとしても病院やクリニックほど多くはありません。健診の仕事内容は基本的な看護技術が主で、ルーティンワークになりがちなので、看護師としてのスキルアップを考えている場合は少し物足りなさを感じるかもしれません。
しかし、家庭の事情や自分の時間を大切にしたいという方にはとても魅力的な仕事です。