頑張る看護師達を襲う職業病!!『燃え尽き症候群』の症状と対策
看護師の職業病のひとつとして過酷な労働環境のもとで生じる精神的なストレスが挙げられていますが、その中でも「燃え尽き症候群(バーンアウト・シンドローム)」という一種の心因性のうつ病を発祥するケースが多くなってきています。
「燃え尽き症候群(バーンアウト・シンドローム)」とは、目標に向かって一生懸命努力したり献身的に働いたりしていた人が、突然電池が切れたようにやる気やモチベーションを失って無力感さを感じ、自分はもうダメなのではないかと思ってしまう、言葉どおり燃え尽きた様な状態になってしまうこといい、様々な職業の人に見られますが、特に医療や教育、福祉など人と直接関わる職業(ヒューマンサービス職)に携わる人達に症状が出る事が多く、近年、看護職にも多発しています。
燃え尽き症候群の症状
燃え尽き症候群は一種の外因性うつ病とも説明されていますが、定義によると持続的な職務上ストレスが原因で、『心身の極度の疲労や感情のバランスの崩壊・自己嫌悪・意欲の喪失、思いやりの喪失・仕事への嫌悪・人生に対する慢性的不満と悲観・対人関係の崩壊・職務上能率低下と職務怠慢』などをもたらすものとされています。具体的には、ストレス性の身体症状(不眠・頭痛・肩こり・胃腸障害など)がひどく、朝起きられなくなり、何もやる気が起こらなくなります。「職場に行きたくない」「アルコールの量が増える」「自分に自信が持てず、人間関係が苦痛になる」「友人や家族とさえ関わりを拒否したり、相手の事に無関心になったりする」等が挙げられます。
熱意を持っていた仕事に対し全く興味がなくなり、無表情で淡々と機械的に仕事をこなすようになり、最後には仕事からの逃避・家庭生活の崩壊・自傷行為などの症状がでる場合もあるのです。
看護師に多い理由は?
燃えつき症候群は、仕事に忠実な人または理想の高い人に生じやすい症状だと言われています。 看護師に中には「人のためになりたい」という情熱を持って看護師を志し、仕事に対する責任感が強く、どんな状況でも患者さんに対して献身的な看護を行うのが使命と考えている人が多いため、日々の激務を頑張る中で、自分でも気づかないうちにストレスを蓄積し続け、燃え尽き症候群を発症するというケースが少なくないのです。
「毎日患者さんのために休みもなる必死に働いているのに感謝される事が少なく、かえって患者さんやその家族からクレームを言われてしまう」「一生懸命に看護をしてきた患者さんが亡くなってしまった。
また、「仕事に打ち込み過ぎて周囲から浮いてしまったり、同僚から非難される」「上司からそれ相応の評価がされなかった など、自分では精一杯頑張っているのに周りはそれに見合う反応や評価をしてくれないと感じる事が続くと、徒労感や無力感に襲われ、次第に何に対しても意欲が感じられなくなっていきます。特に、ある程度臨床経験を経た中堅クラス以上の看護師の方が燃え尽き症候群になりやすいと言われています。
上司や周囲からの要求に応えようと自らの目標を上げてしまうことや他人の人生・生命に関わる役割を担っていることへのプレッシャーが長期的に続いて心が休まる事がなく、ちょうど結婚や出産など自分自身の人生の重要な転換期とも重なり、仕事・家事・育児など全てに完璧さを課してしまうために、緊張やストレス、疲労を慢性化させてしまい、燃え尽き症候群の症状が現れてしまうのです。
燃え尽き症候群の予防と対処法
燃え尽き症候群の治療では、何といっても十分な休養が必要です。身体面での対処法としては、生活のリズムや内容を見直すことです。お風呂でゆっくりと体を温める・しっかり睡眠をとる・食事に気をつける・スマホやテレビに費やす時間を減らす・適度な運動をするなど、生活習慣を見直して体への負担を軽くすることが大切です。
また、精神面での対処法は、自分に厳しくしすぎないことです。看護師の仕事は完璧さを求められ少しのミスも許されないものではありますが、「全てを完璧にする」という考え方はやめて、自分が達成した事やできる事に焦点を当て自分を認めてあげることが必要です。自己を肯定的に評価しながら上手にストレスを対処していく必要があります。
できれば、少しまとまった休みを取り、仕事以外のことを考えて心の余裕を取り戻すようにしましょう。現実的に無理な状況ならせめて短い休息の間でも、気分転換を図りましょう。日中、近所を散歩し周囲の景色を眺めたり、写真に撮ったりするだけでも気分転換になります。 場合によっては、思い切って新しい環境下で再スタートさせる事も必要です。同じ環境下で無理に気力をふりしぼることなく、自然に仕事への気力がわいてきた時に新しい環境のもとで仕事に復活するという選択肢もあるのです。
燃え尽き症候群は個人の性格と環境との相互作用でおこると言われており、予防には毎日のセルフケアが大切です。
- 疲れやすい、十分な休息が取れていない
- 精神的に参っている
- いつも気が滅入っている
- 何となくうんざりしたり、わずらわしい気持ちになる
- 気が弱くなっている
- 周囲の人達に幻滅や憤りを感じている
こんな兆候があったら無理をせず、専門家に相談しましょう。