看護の医療事故を防ぐためのポイントは?

看護の医療事故を防ぐためのポイントは? 原因や予防策などを徹底解説

元看護師のゆかり

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なぜ看護で医療事故が起きるのでしょうか。医療事故を未然に防ぐためには何をすればいいのか、考え悩んでいる方は多いはずです。医療事故が起こる原因はさまざまですが、しっかりと原因を理解しておけば未然に防ぐことができます。また、実際にどのような医療事故が起きているのか知ることも大切です。

本記事では、医療事故が起きる原因や看護師による医療事故の予防策について解説します。

  1. 医療事故が起こる原因は?
  2. 看護師の医療事故事例を紹介
  3. 看護師による医療事故の予防策
  4. 医療事故に関してよくある質問

この記事を読むことで、医療事故が起きる原因や具体的な予防策が分かります。悩んでいる方はぜひチェックしてください。

1.医療事故が起こる原因は?

最初に、医療事故が起こる原因をチェックしておきましょう。

1-1.医療スタッフのチームワーク不足

医療事故が起こる大きな原因は、医療スタッフのチームワーク不足です。人が行うことには必ずミスが発生するものですが、注意力を高めておけば未然に防ぐことができます。特に、医療は何人ものスタッフが関わる現場になるため、それぞれの役割を把握しておきながらチームワーク性を高めなければなりません。医療事故の中でも発生頻度が高い薬剤の誤投与事故は、医師・看護師・薬剤師の3つの触手が関わることになります。看護師においても準備をする人や薬剤を投与する人など役割が異なるのです。そのため、連携をきちんと取っていなければ間違った処置をすることになってしまいます。ほとんどの医療事故は1人が起こしたものではなく、みんなで起こした事故と言えるのです。

1-2.医療行為者の注意不足や認識の欠如

医療チームのコミュニケーション不足はもちろんですが、医療行為者の注意不足や認識の欠如が医療事故につながることもあります。毎日体温を測ったり、注射を打ったりするなど、看護師の役割や仕事があるはずです。毎日同じことをし続けていると、行為が当たり前になってしまい注意力や認識が欠如してしまいます。「このくらいなら大丈夫」という認識のあまさや、毎日同じような仕事をしているという慣れから気が緩んでしまうのです。ベテランの看護師であったとしても、人の命を預かっているという責任を持ち続けることが大切となります。

1-3.事前に事故を防ぐための防止策が徹底されていない

医療事故が起きる原因の中には、医療管理機関の大きなミスがあります。たとえば、ミスを犯しても医師会などに届け出る義務が課されていなかったり、事前に医療事故を防ぐための防止策が徹底されていなかったりするなどです。人が働く現場では、起こり得るヒューマンエラーの対策を施す必要があります。事故は起きてから解決するのではなく、起こらないように未然に防ぐことが重要です。医療事故を防ぐためには、医療管理機関が事前に事故・ミスを防ぐための対策を施す必要があります。

1-4.問題視されている看護師の人員不足

近年、問題視されているのが医師や看護師など医療従事者の人員不足です。少子高齢化が進んでいる日本は、これから増える高齢者の人数に対し医療従事者の数が足りない問題に頭を抱え込んでいます。必要な人員が不足すると、連続勤務による疲れから判断ミスが続出してしまうのです。少しの手違いでも気づかない環境になってしまう恐れがあります。さらに、人員不足を解消するために医療システムや機械に頼る傾向も出ていますが、複雑な医療システムによって医療事故が起きる可能性もあるのです。

1-5.そのほかの原因もたくさんある

紹介してきた原因のほかにも、医療事故が起きるきっかけはあちこちに隠れています。たとえば、医療従事者本人の教育と環境が整っていない・病院内の環境が悪化している・医療ミスを起こした人への処罰が緩い・薬品名や医療器具をチェックしていないなどです。看護師の場合、さまざまな職場があり、それぞれ仕事内容も異なります。場所ごとの仕事内容や役割をしっかりと把握しておかなければ、人の命に関わる事故を引き起こす可能性が高まるのです。

2.看護師の医療事故事例を紹介

実際に、どのような医療事故が起きているのか、看護師における事例をいくつか紹介します。

2-1.薬剤の誤投与事故

看護師の医療事故で多いのは、薬剤の誤投与事故です。前述したように、毎日同じような仕事を行うことで慣れてしまい気が緩んでしまいます。その結果、薬剤を間違って患者さんに投与してしまうのです。また、気の緩みが原因のほか、日々の疲れが原因で医師から指示された量以上の薬を投与してしまいます。患者さんに注射したり、点滴を追加したりする看護師だからこそ、人の命に関わるような誤投与事故を起こしてしまうのです。さらに、誤投与事故の中には、医師の指示どおりにした結果、死亡事故を起こしてしまい責任を取らなければならなかった事例もあります。

2-2.予防措置をしなかったことによる医療事故

看護師による医療事故の中には、予防措置をしっかりと行わなかったことによる事例もあります。たとえば、重症の肺炎を疑われた患者さんに対して2時間おきに体位を変えたり、マッサージを行ったりするなどの予防措置を行いませんでした。その結果、患者さんの容体がさらにひどくなったのです。裁判に持ち込まれたこの事例は、看護師の過失が認められました。看護師としてしなければならないことを怠っていたせいだと、裁判所が判断したのです。

2-3.知識や経験に合っていない医療行為による事故

看護師の人員不足によって、知識や経験に合っていない医療行為による事故が多発しています。新米看護師に高度な医療を任せた結果、患者さんの容体が悪くなり、麻痺(まひ)を発症した事例が起きているのです。医療事故として認められたケースもあり、損害賠償が認められました。人手が足りないからと知識や経験にあっていない医療行為をすると、医療事故の発症リスクが高まります。その場の指示が誤っていたケースもありますが、医療機関全体による見直しが必要と言えるでしょう。人員不足を何とかしなければ、医療事故も未然に防ぐことができません。

2-4.新人看護師による医療事故

新人看護師は現場に不慣れで、毎日仕事に慣れることでいっぱいいっぱいです。新人看護師しかいない現場で突然のアクシデントが起こったら、どうすればいいのか分からなくなるのは当たり前と言えるでしょう。本当は新人とベテランの2人1組でなければならないのに、新人看護師しかいなかったせいで医療事故が起きるケースも増えています。インシデント・アクシデント報告の2割が新人というところもあるのです。新人看護師による事故を減らすためには、事故の報告を分析し研修に反映させる必要があるでしょう。

3.看護師による医療事故の予防策

それでは、看護師による医療事故の予防策をいくつか紹介します。

3-1.業務の整理や病院全体の見直しで対策を立てる

医療従事者の数が不足している限り、常に募集をかけるなど不足を補うことが必要です。ただし、募集をかけてもなかなか集まらないのが現状なのでどうすれば看護師の過労を防ぐことができるのか病院全体の見直しが必要と言えるでしょう。たとえば、トイレやお風呂など細かい作業に対してはヘルパーやボランティアに依頼するなどです。医療機関がきちんと整備してくれるように、看護師同士で話し合い、不満に思っていることを上に伝える必要があります。

3-2.労働時間を制限・勤務態勢を確立させる

看護師の過労による医療事故を減らすためには、労働時間を制限する方法もあります。看護師1人1人の勤務形態を三交代にしたり、勤務時間を減らし負担を少なくしたりするなどです。ただし、入院設備が整っているところはなかなか実行に移せない問題があるため、少しずつ准看護師や派遣を増やして労働時間を制限する努力が必要になるでしょう。また、勤務体制をしっかりと確立させることも大切です。

3-3.講習会参加の義務化・教育システムの構築

知識や経験不足による医療事故を減らすためには、講習会参加の義務化や働きながら学べる教育システムを構築するなどの取り組みがあります。看護師の教育制度が整っているところは、勉強熱心な人も多く、生き生きとしているものです。新人看護師やブランクを不安に思っている看護師でも安心して働くことができるでしょう。実際に、看護師が新しい就職先を選ぶポイントとして教育制度の充実に注目するケースが増えています。

3-4.医師や看護師のコミュニケーション強化

医療チームによるコミュニケーション不足が原因の場合、チーム内の連絡やコミュニケーションを積極的に行うことが大切です。たとえば、情報管理システムの導入を促進したり、カルテを分かりやすい記述にしたりするなどのさまざまな対策があります。また、カルテを違う人がくり返しチェックする必要もあるのです。医療チーム内の協調性を高めるためにはどうすべきか、現在の問題点を浮き彫りにすることも大切なポイントと言えるでしょう。

4.医療事故に関してよくある質問

医療事故に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.医療事故を未然に防ぐ最大のポイントは?
A.事故は職種を超えたチームの中で起こることをしっかりと把握することです。看護師は直接患者さんと関わることが多いのですが、医師・薬剤師・介護士などさまざまな人たちが患者さんの治療に関わっています。たとえ、看護師の直接的なミスが医療事故につながったとしても、医師の判断ミスが大きな原因だと判明したこともあるのです。医療事故は看護師だけでなく、チームみんなの事故だと思い、チーム全体で防ぐことが医療事故を防ぐ最大のポイントとなります。

Q.注射や内服で気をつけておきたいことは?
A.看護師同士でコミュニケーションを取りながら、正しい薬品管理を行うことです。そして、薬に対する管理だけでなく、副作用や常用量用法を熟知することも注意して意識しましょう。ベテラン看護師でも毎日の仕事に慣れてくれば、つい注意力が低下してしまいます。決められた方法で準備しなくなり、正しい方法で注射や内服が実施できなくなってしまうのです。また、実施後のサインを記名したり、注射器は注射器以外に使用しないようにしたりするなどの工夫があります。

Q.院内感染を未然に防ぐコツは?
A.看護師における医療事故の中には、適切な処置をしなかったために院内感染を引き起こした事例があります。感染力が強く、命に関わるウイルスや感染菌だと、院内だけでなく院外にも悪影響を及ぼしてしまいがちです。院内感染を防ぐためには、院内感染防止マニュアルをきちんと理解しておく必要があります。また、消毒剤に対する用法や用量も理解し、ユニフォームを清潔にしたり、TPOに応じて使い分けたりすることも大切なコツと言えるでしょう。感染症や感染経路に対する知識も熟知してください。

Q.指示の認識違いを防ぐポイントは?
A.医師や先輩看護師などからの指示間違いを防ぐためには、指示をしっかりと確認することが大切です。確認だけでなく、指示が見にくい場合は必ず医師に相談し確認することも重要となります。また、患者の病状に関しては常に観察し正確に報告しましょう。自分1人で確認するのではなく、ほかの看護師と共有する必要もあります。そして、口答指示の場合は復唱しメモを取り、記録に残しましょう。

Q.看護師が医療事故を起こしたときに負う責任は?
A.医療機関に対する損害賠償請求など民事責任を問われる可能性があります。看護師は必ずしも被告になるとは限りません。被害者となる患者が責任の所在を看護師個人ではなく、病院または医師に対して訴訟を起こすことができるからです。ただし、看護師の過失により患者に健康被害が生じた場合は、業務上過失致死傷罪として刑事責任に問われる可能性もあります。

まとめ

看護師における医療事故は、医療チームのコミュニケーション不足や教育制度の不十分さなどが大きく関係しています。原因をしっかりと把握することで、未然に事故を防ぐ対策も施すことができるでしょう。特に、看護師における医療事故を防ぐためには、医師やほかの看護師・患者さんとのコミュニケーションを大切にしたり、知識や技術を向上したりするなどの対策があります。どのような事故が起きやすいのか想像した上で、できる対策を実行しましょう。

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