多くの看護師が抱える人間関係の悩み・・・その解決法は?
社会生活を送る上で人間関係の悩みはつきものです。学校、地域、職場などどこにでも存在し、人間関係の問題がやがて精神的な病気にまで至ってしまうケースも少なくありません。
特に看護師の場合には、同僚(先輩、後輩)ナース・医師や上司・その他のメディカルスタッフ・患者さんとその家族など様々な人と、日々密接なコミュニケーションを取ることになります。
どんな人とも常に良好な関係を保つことは非常に難しいことで、人間関係に悩まされ精神的に追い詰められてしまう看護師も多く、それが原因で休職や退職を余儀なくされることも少なくありません。
- 年間離職者10万人以上、平均転職回数4~5回
- 離職・転職の主な理由は『人間関係のこじれ』
- 人間関係の問題を解決するには?
1.年間離職者10万人以上、平均転職回数4~5回
看護師は他の業種に比べて、退職や転職が多いと言われています。 2013年の常勤看護師の離職率は11.0%、新人看護士が1年以内に辞めてしまう新卒離職率が7.9%で、年間離職者数は10万人以上といわれています。 (2013年度 日本看護協会調査)
また、平成成23年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)によると、看護師の平均勤続年数は7.4年で、生涯勤務年数を40年とすると転職回数は4〜5回ということになります。世代別では20代の平均勤続年数は2.95年・30代は6.9年。もちろん、1つの医療機関に長期間勤務する人もいますが、20代でも3回の転職経験を持つ看護師は普通なのです。
2.離職・転職の主な理由は『人間関係のこじれ』
退職や転職の理由をみると、『結婚・妊娠・子育て・家族の介護』などの環境の変化や『専門分野を勉強したい』『学位を取りたい』などスキルアップを目指すなど様々ですが、本音を聞くと『人間関係』を理由に挙げる人がとても多いのです。
「上司からのパワハラを受けた」「先輩に質問しても無視される」「同僚からいじめを受け、陰口を言われる」「申し送りや連絡事項を伝えてもらえなかった」「根拠のない噂話を流された」「医師から毎日バカにされる」「患者さんや家族から毎日暴言を言われる」など、人間関係の悩みは深刻です。
患者の生命を預かる責任ある仕事において、新人や経験の浅い看護師が技術不足を注意・指導されることは当たり前のことです。しかし、常態化した人手不足の中で忙しさのために余裕がなく、口調や態度が必要以上に厳しくなることがあります。
女性が95%を占める看護師社会では、その場の空気や雰囲気を重視し、グループを作る傾向が強く、異なる意見やストレートな発言は敬遠されがちです。また、これは男女問わないことですが、いわれのない嫉妬から陰口を言われたり、足を引っ張られることもあります。 人間関係が悪化することにより、職場での信頼関係がなくなり、お互いの連携も上手くいかず、医療ミスや事故にもつながりかねません。 業務や身体に支障が出てしまう様な場合には、解決するための早めの行動が大切です。
3.人間関係の問題を解決するには?
ある日を境に突然人間関係が良好になるなんて事は滅多にありませんし、解決方法はそれぞれのケースによりますが、まずは自分と周りとの関係を客観的に見直し、その上で上司・責任者に相談してみましょう。 その際には、「いつ・どこで・どんな事が起きたか」をできるだけ客観的に伝えることです。上司がうまく注意・指導してくれたら、事態が好転するかもしれません。 上司や医師によるパワハラなどの場合はなかなか相談しにくいものですが、あまりに酷い場合には各地の労働問題を扱う窓口(労働局や監督署)などに相談するのも一つの方法です。
それでも解決できない場合は、思い切って転職することをお勧めします。 転職することで環境が変わり、新たな人間関係を築くことができます。ただ、実際に働いてみないと人間関係の善し悪しは判断できません。職場を変えても同じ様な問題に直面するケースもあります。 転職する際には、予めそこで働いている(働いていた)看護師などからの情報を得られるといいでしょう。 転職サイトなどによってはコンサルタントによるサポートもあるので、担当者には正直に話し、リアルな情報を得てください。
しかし、何より大切なのは、看護師としての技術力を高めると共に、人間関係を円滑に保つ基本である『他人の悪口を言わない・人の噂話に同調しない・自分の仕事に集中する』事に努めること。 看護師は大変ですが、人の役に立つやりがいのある仕事です。看護師として働くためには、人間関係に於けるある程度の耐性をつける事も必要なのです。