24時間365日入院患者を支える病棟看護師の仕事とは

看護師が働く場所は様々です。看護師としての基本的な知識や技術は変わりませんが、病院勤務でも外来と病棟、オペ室、透析室など部署が違えば勤務形態や業務内容も変わりますし、外科・内科・精神科・小児科・産婦人科・精神科など診療科が違えば必要とされる事も変わってきます。

病棟に勤務する看護師の役割は入院中の患者さんの対応をすることで、主な仕事内容としては、 入院中の患者さんの衣類の着脱・バイタルサイン（血圧・体温・脈拍・呼吸）の測定、清拭や洗髪・食事介助など安全に患者さんの身の回りの世話をすること、診察や治療が確実に行われるよう医師のサポートをすること等です。
入院患者がいる病院は24時間365日休むことなく活動しており、ほとんどの場合、病棟看護師は「3交代制」または「2交代制」の勤務体系で勤務しているため、夜勤を避けては通れません。 勤務中には予定通りの業務だけでなく、患者さんの急変への対応や、ナースコールの対応など、随時発生する業務もあります。

日勤・夜勤の主な仕事内容

日中の仕事

1. 申し送り
   夜勤の看護師からの情報の引継ぎ。担当の患者さんの夜間の状態や変化を聞き取り、その情報から看護ケアの予定を計画します。
2. バイタルサインのチェック
   申し送りの後、担当の患者さんのバイタルサインのチェックを行います。意識・血圧・脈拍・呼吸・体温の状態などを測定して患者さんの健康状態を確認。患者さんから痛みなどの訴えを聞き取りながら、状態に異変がないかどうかをチェックし、バイタルサインや状態に変動があれば医師に報告します。
3. 患者さんの身の周りの保清
   患者さんの全身清拭、手浴・足浴、環境整備など身の回りの世話をします。また、手術や病気で動けない患者さんに必要な食事・入浴・排泄などの介助、そのほか点滴や注射、血液検査・尿検査などの医療行為や手術室・検査室への移送など、一日の業務はたくさんあります。
   その間にも患者さんからのナースコールに対応する事になるので、複数の作業を同時に行う事もしばしばです。
4. 記録～申し送り
   担当の患者さんの記録を取り、交代の看護師に情報の申し送りをします。

夜勤の仕事

1. 申し送り
   交代の看護師から情報を引継ぎ、注意が必要な患者さんや術後の確認などを行います。
2. バイタルサインのチェック
3. 患者さんの世話
   夕食の介助、投薬、注射、点滴など患者さんとコミュニケーションをとりながら進めます。
4. 夜間の見回り・状態チェック
   患者さんの就寝後には、病室の見回りや呼吸機・心電図のモニターチェック、体位交換、点滴の管理のほかに、明日の検査の準備やカルテの記入等があります。夜間に患者さんの状態が急変・異常が起こった場合は、担当医もしくは当直医に連絡し指示を仰ぎます。
5. 起床後のチェック
   朝食前の血液検査・尿検査、検温、朝食の配膳、投薬など短時間に多くの業務を行います。
6. 記録～申し送り
   担当の患者さんの記録を取り、交代の看護師に情報の申し送りをします。

入院患者や家族の身体と気持ちまでをケアする病棟看護師

外来や手術室の看護師は、一日に複数の患者さんと限られた時間だけ接しますが、病棟看護師が担当する患者さんはほぼ決まっており、また朝起きてから寝ている間まで患者さんのケアを行うため、より患者さんと密接に関わることになります。
毎日のケアの中で患者さんとのコミュニケーションを深めながら身体状態を深く観察し、その情報を看護師・医師・他の医療従事者などのチーム全体で共有し治療方針に役立てる事が、病棟看護師の業務で最も重要なことです。

入院している間は『病院』が生活の場所となる患者さんやその家族にとって、生活環境の変化や病気・治療に関することなど様々な不安や心労が生じます。病棟看護師は患者さんの生活環境の変化への適応を助けると共に、安心・快適な入院生活や治療に専念できるような環境づくりに努めると共に、家族の不安や心労などを軽減できるように相談・支援を行うという役割も担います。身体のみならず精神的にもケアをすることが病棟看護師の大事な仕事といえるでしょう。病棟看護師はコミュニケーション能力が必須になります。

昼夜問わずのナースコールやひとときも休まることがないほど多くの業務、患者さんやその家族との人間関係、不規則な勤務体系など現状の病棟看護師の仕事は大変で敬遠されることも多い様です。
一方で、患者さんから感謝される事も多く、特に回復し退院する時などにはお礼や感謝の言葉をもらえる事も多々あり、看護師としてのやりがいを感じられるでしょう。それを励みとして病棟看護師を続けている人達は少なくありません。
病棟看護師は体力面・精神面共にハードな業務ではありますが、看護師としてのスキルアップを果たせる環境です。事情があって転職する場合でも、病棟看護師としての経験は間違いなく有利にはたらくことでしょう。