看護師が悩む患者さんやその家族との関わり方
多くの看護師が仕事上で様々な人間関係の悩みを持っています。先輩看護師・上司・医師などとの関係と共に患者さんやその家族との関わり方に悩んでいる看護師は特に多いのです。
看護師として働いていると、一度や二度は患者さんやその家族から苦情を言われた事もあるでしょう。
人によって価値観やものの感じ方。コミュニケーションの方法も違いますから、同じ看護や対応だったとしても、それが苦情の原因になることがあります。また、患者さんの家族から看護師の言葉遣いや態度、看護の方法などについて細かく注意されることもあり、それに悩み、仕事を辞めてしまう看護師もいるのです。
患者さんやその家族からのクレーム
環境・設備に関するクレーム
病院の入院環境(冷暖房・寝具・他の患者さんへの不満など)や外来の受付・精算での待ち時間等、施設環境へのクレームが特に多いようです。
患者さんやその家族への対応に関するクレーム
看護師の患者さんに対する言葉遣いや態度・他の患者さんへの対応との比較など、患者さんやその家族への接し方に対して平等ではない、自分にだけ横柄だったなど感情面からのクレームは少なくありません。
看護技術の未熟さに関するクレーム
採血や点滴時の失敗・不慣れな介助・痛みを伴う処置で時間などが、看護技術が未熟でスムーズさや丁寧さが感じられないと患者さんや家族にとってはストレスであり、クレームの対象となります。?
クレームはまず事実の報告を
自分の看護技術が他の看護師に比べて未熟であるとか、?不用意な言動が患者さんやその家族を傷つけてしまっている、相手に不満を感じさせる内容であるという事であれば、?それらの態度や対応を改めるために、クレームを客観的に捉え、具体的な解決策が必要となります。
看護師は患者さんやそこ家族の状況や立場、気持ちを理解しようと努め、?それぞれに合った対応や看護を行う必要があるのです。自分の至らない点を改善しようという真摯な態度こそが必要でしょう。 しかし、クレームの中には一方的で理不尽なものもあり、暴言・暴力・セクハラなどを伴うこともあります。また、それによって他の業務にも支障が出るとか、自身の身の危険を感じる、無理な要求をされるなどといった、自分一人ではとても解決できない問題が生じている場合も少なくありません。
このような事を避けるためにもクレームを受けた場合には必ず上司やチームに報告することが重要です。その内容によっては病院の上層部や弁護士などが対応することにもなります。
クレーム対応で大事なこと
患者さんや家族にクレームを言われた時にまず必要なのは、『感情的にならず、相手の話に共感しながら良く聞くこと』です。 クレームに対しては看護師の言い分もあるでしょうし、?納得いかないこともあると思いますが、途中で話を遮ったり相手を否定したりすると、さらに問題が大きくなり、かなりの時間を要してしまう可能性があります。話を聞き終えた上で、正論を伝える事が大切です。
相手の気持ちや不満を一旦受け止めないと、いくら説明しても全く聞いてはもらえません?。説明をした上で「今まで説明不足でご心配おかけしてすいませんでした」と誠心誠意伝えます。難しい事ですが、があくまでも冷静な初動対応が必要になるのです。
クレーム以外の悩み
患者さんやその家族からはクレームばかりではなく、日頃お世話になっている看護師への感謝の気持ちから「連絡先を教えて欲しい」「お礼をしたい」などという申し出もある様です。厚意をどうやって断ったらいいのか悩ましいものです。その際にも「お気持ちだけで十分です」「規則ですので などと言うのが無難な断り方ですが、それでも断れないようなら上司に任せましょう。
患者さんもその家族も心身共に不安や苛立ちを抱え、人の言葉や態度にとても敏感になっています。健康な時には起こらない様な感情や態度を示す事もあるのです。看護師が些細な事だと思っていたことがクレームとして大きな問題になってしまう多くの場合、お互いの信頼関係が築けていない事に起因しています。日頃から患者さんや家族への気遣い、言葉掛けなどを行い、患者さんやその家族とのコミュニケーションを深めていくことが関わり方の基本となるのです。