これからの看護師に必要なこと
深刻な看護師不足の中、就職や転職に有利とされる看護師。厚生労働省の「第7次看護職員需給見通し」によれば、2015年における看護職員(看護師・准看護師・保健師)の需要人数は約150万1千人であるのに対し、供給人数は約148万6千人で約1万5千人が不足する見込みであり、少子高齢化が進む今後しばらくは看護職の需要は続くと思われます。
一方、国の政策によっては病院勤務の看護師数が14万人以上余ってしまう可能性を示唆する衝撃的な意見もあります。 これからはどんな看護職が必要とされていくのでしょうか。
『スペシャリスト』『ジェネラリスト』の需要
医療は日々高度化し、新しい治療技術が実践されており、そのための知識や技術の習得は不可欠なことです。 現状でも認定看護師や専門看護師といった資格を持つ専門性の高い看護師が医師の作業の一部を担うケースも増えています。また循環器専門・手術室専門・救急専門などスペシャリスト化が進み、認定看護師や専門看護師の認定分野もさらに細分化され、これだけは誰にも負けないという専門能力や技術が臨床現場では必要とされるでしょう。
また、診療科別病棟から混合病棟へ移行する事も想定されるため、『スペシャリスト』としての立場だけではなく、臨床現場において領域・対象を問わず様々な分野に広く精通し、患者の基本的ニーズを満たす『ジェネラリスト』としての能力・順応性を持つことも求められます。
今後、医師の指示で動くだけではなく、看護師として自分に与えられた範囲内で自ら考え・行動できる人材が求められる様になるでしょう。 昔、学んだ古い医療知識のままで止まっていたり、スキルが低い看護師には良い職場は見つかりにくくなるといえます
超高齢化社会に対応できる看護師の需要
現在、日本の高齢者(65歳以上)の人口は3296万人で総人口比25.9%(2014年総務省統計局調べ)、2025年には高齢者の割合が約30%、2060年には約40%に達すると見られており、超高齢化社会は加速度的に進んでいます。当然なことですが看護ニーズは拡大し、看護内容にも大きな変化が予想されています。
病床数の規制によっては、
在院期間の短縮により長期入院ができにくく、在宅療養をせざるをえない人が増えることになります。それに加えて住み慣れた家で療養したいという高齢者も増えており、こうした状況から必然的に訪問看護師が必要とされています。また、最近では特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設等の看護師の募集が急増しています。
しかし、介護施設での勤務や訪問看護師はまだ「高齢者の介護」のイメージが強く、看護内容・就労環境・報酬体系などが周知されず、敬遠されるケースも多い様です。特に訪問看護では担当する患者さんやその家族との関係性はより密接なものになり、病棟勤務以上の深いコミュニケーションが必要となります。看護の基本に立ち戻ったという訪問看護師もいます。
高齢者に関わる施設や訪問看護では一般病院以上にターミナルケアが避けて通れないことになるため、グリーフケアなどの知識も必要とされ、このような超高齢化社会に対応できる知識をもった看護師がますます重要視されていきます。
今後どのように医療制度が変わっても医療に必要性がなくなる事はありませんし、収入や内容はどうあれ看護師の需要がなくなる事は絶対にありません。しかし、看護師資格があるから職には困らないという時代ではなく、高学歴化も加速され、漠然と仕事をしてたら淘汰されていく時代になりつつあるのです。
将来を見据えて看護師としてのキャリアプランを考え、常に自分を向上させていくことが大切です。