多くの看護師が悩む職業病。つらい『手荒れ』を防ぐために
看護師の身体的な悩みの中で多いのが「手荒れ」。
医療従事者は毎日高い頻度で手洗いを行います。特に看護師はディスポの手袋を装着して処置を行ったり、手のアルコール消毒をしたり、物品の消毒液を触ったり洗ったりするなど、手荒れの原因となる要因を避ける事はできないのです。
手荒れがひどくなると「手洗いにも痛みを感じる」「指先の力が入らない」など看護師自身のQOLの低下をはじめ、看護師の手が感染源となってしまう院内感染などにも繋がることから、本人だけでなく病院全体にとっても手荒れケアはとても重要なことです。
ひどくなる前に手荒れのケアを
手指の皮膚は皮脂腺から分泌された皮脂と汗腺から分泌された水分が皮脂膜となって皮膚を保護していますが、 手洗いによってこの皮脂膜がはがされ、その下の角質の水分が蒸発して乾燥してしまうためかさかさになってしまいます。通常は数時間程度で皮脂膜が回復されますが、度重なる手洗いなどによって回復しかけた皮脂膜が再び除去され、表皮の脂質だけでなく細胞間脂質までが失われてしまうと角層のバリア機能が低下してしまいます。
水分を失い柔軟性を失った皮膚は乾燥状態から角質の硬化や亀裂・紅斑ができ、痒みや痛み、出血といった症状がでてきます。痛みや出血を伴うほど悪化してしまったら皮膚科などを受診した方が良いでしょう。 症状をなるべく早い段階で抑えるためには、「手洗いの方法を見直す」「使っている石鹸などを変える」「症状にあわせたハンドクリームの使用」「パウダーフリーの手袋の着用など、しっかりとした手荒れケア対策を取る必要があります。
手荒れを防ぐ手洗いの方法
石けんで手を洗う際には、乾いた手に石けん液の原液を取ることは手肌に良くありません。流水で手を濡らしてから石けん液をとるようにします。 また、石けん成分が十分に落とされていないすすぎ残しも手荒れの原因となるので、すすぎは流水で十分に行うようにしましょう。また、手洗いでは熱いお湯の使用を避けることが大切です。 手洗い後に手をペーパータオルで拭くときは、ごしごしと擦って拭くのではなく、やさしく包むようにして押さえて拭く様にしましょう。
ハンドクリーム使用時の注意
手指の保湿し手荒れ状態の改善のためにはハンドクリームでのケアが大切です。しかし、間違ったタイミングで使用すると手が危険な状態になってしまう事があります。手に細菌が付着している状態でハンドクリームを塗ってしまうと、 その後に確実な手洗いや消毒を行ったとしても、ハンドクリームの下にある菌(皮膚に付着した菌)を 殺菌することが困難になります。
ハンドクリームの油分が皮膚を保護するバリア機能として働くため 手洗いの際に使用する石鹸の透過性や消毒液の透過性を低下させ、ハンドクリームの下にある菌を守ってしまう事になるのです。確実な方法で手洗いや消毒を行い、乾かした後の細菌がいない状態でハンドクリームを塗るようにしましょう。
ベタつきや臭いが直後の作業や処置に影響するという理由で使わないと人もいますが、最近では医療現場での使用に適し手荒れケアを目的としたハンドクリームの開発されている様です。 自分に合ったものを常に携帯し、手洗い後には毎回必ず塗布するように習慣づけることが必要です。