ブランクに悩む看護師の復職時に気をつけたいこと
看護師の資格を持っていながらも、結婚や育児・介護など様々な理由で現在看護職を離れている潜在看護師の数は全国で55万人とも70万人とも言われています。
あるアンケートでは、離職者のうち約4割が看護職への就業を望んでいるという結果もあり、慢性的な看護師不足の状況下において、厚生労働省もこれらの潜在看護師を積極的に活用するための対策を講じているのです。
ブランク年数と再就職の現状を知ろう
復職を考える人の多くは、「休職している間の医療の進歩や変化についていけるか」「最新の技術や知識を習得できるか」「採血などの基本技術を忘れてしまっているかもしれない」「自分より若い同僚達とやっていけるのか」等の不安を抱えています。ブランクが長くなるほどその不安も大きく、復職することに二の足を踏んでしまっている様です。
ブランクが1~2年程度の場合は、離職期間も短いので、ある程度の知識やスキルは仕事をしながらすぐに感覚を取り戻せる人が多く、比較的再就職しやすい傾向にあります。
出産・育児を理由に離職し、少し落ち着いたので復職したいと考える人は、5年前後のブランクとなる事が多い様ですが、離職している5年で医療技術・機械・器具などが大きく進歩しているため、「即戦力とは認められず、病院や部署によっては再就職が難しいケースもあります。
また、看護職に携わっていない期間が10年以上ある場合は、知識や技術面はもちろんですが、自分自身の体力面や判断力などの衰えなども出てくるようになり、年齢的にも離職前と同じように働くことはかなり厳しい状況であるといえます。
復職支援・サポート事業・書籍などの利用しよう
ブランクが不安な人達の知識や技術面をサポートするために各都道府県の看護協会が潜在看護師再就業支援事業として、研修や実習などを行っています。また、最近では復職支援や復職希望者のためのインターンシップを行っている病院もあります。
病院内での研修・実習やインターネットを使った在宅学習など、現在の医療現場を実際に体験し、その場所に身を置くことで以前の勘を取り戻し、研修を受けたことで不安を軽減し自信を持つことができます。また、現場で働く現役看護師や自分と似たような立場の人と交流することで、不安なことや悩み・疑問なども解消できるでしょう。
また、看護師向けの総合誌・月刊誌・各科ごとの専門誌など医療関係の書籍、特に新人看護士向けの看護雑誌などは、看護師に不可欠な情報が載っていますので、目を通すことをお勧めします。
勤務先・勤務形態などの選択肢を広げよう
ブランク後の復職を考える際、「病院勤務・常勤」を条件に考える人が多い様ですが、特に病院の常勤勤務の看護職は精神的にも肉体的にもハードです。しかもブランクという不安を抱えながら新しい技術や知識を習得していくのは大変です。
昔の勘を取り戻し仕事に慣れる意味でも、いきなり高いハードルからではなく、まずパートや派遣看護師として働く・病院だけでなく介護関連の施設や訪問看護など看護師としての様々な働き方も視野にいれながら、今の自分の状況や能力に応じた勤務体系や勤務先などを検討していくと仕事復帰の道が広がります。
ブランク後の復職はとても勇気がいることです。不安を軽減できるような職場選びと復職に向けた心構えや努力があれば、ブランクがあってもまた看護師として働くことができるでしょう。年齢や経験を重ねていることが看護の仕事には必ず役立ちます。