看護師長の役割とは? 必要な資質や仕事内容、役職に就くためのコツも
看護師長は一般的な看護師よりも責任を負う立場となりますが、具体的にどのようなことをするのか、どのような管理職なのか把握していない方は多いでしょう。管理職を目指している方にとっては、看護師長の役割をしっかりと把握しておくことが大切です。一体、どのような仕事内容をこなし、どのような資質が必要になるのでしょうか。
本記事では、看護師長の役割などについて詳しく説明します。
- 看護師長の役割は?
- 看護師長に必要な資質は?
- 看護師長の仕事内容は?
- 看護師長になるにはどうすればいい?
- 看護師長に関してよくある質問
この記事を読むことで、看護師長になるためのポイントや仕事内容なども分かります。気になっている方はぜひチェックしてください。
1.看護師長の役割は?
まずは、看護師長の役割をチェックしておきましょう。
1-1.スタッフナースを統括する大事な役割
看護師長は、スタッフナースを統括する大事な役割を担っている管理職です。看護師長の上に看護主任、下に看護部長という役職があります。一般企業にたとえると、看護主任が係長、看護部長が部長で、看護師長は課長のような存在です。看護主任とともに業務の円滑化を進めたり、看護の質向上に向けた取り組みを行ったりすることになります。スタッフナースをまとめ、統括して指導していくとてもやりがいのある仕事といえるでしょう。
1-2.さまざまな業務を担当する
看護師長の役割はナーススタッフの統括だけでなく、幅広い役割を担うのも大きな特徴です。スタッフナースへの指導や相談はもちろんのこと、包括的な看護業務の把握と運営、職場環境の改善・向上も大切な役割となっています。また、病棟内の管理者でもあるため、病棟内看護における目標の設定や達成も目指していかなければなりません。どうすれば病棟内の看護を向上させることができるのか、全体の状況を把握する必要があるでしょう。
2.看護師長に必要な資質は?
ここでは、看護師長に必要な資質を紹介します。
2-1.チームをまとめるためのリーダーシップ性
これは管理職すべてに当てはまることですが、看護師長はチームをまとめるためのリーダーシップ性が必要とされる役職です。前述したように、職場で働いているナースの相談にのったり、問題を解決するために働いたりしていく役割を担っています。看護師が働く職場は個人の資質がよければいいというわけではなく、チームワークがとても大切な職場です。そのチームワークをしっかりと保ち、質の高い看護を提供していくためにも、多くの看護師をまとめるためのリーダーシップ性が必要になるでしょう。
2-2.知識・技術と冷静な判断力
看護師長になるためには、それなりの知識と技術を身につけておかなければなりません。たくさんのナースをまとめることになりますから、さまざまな問題を解決するための知識・ナースとしての技術が必要となります。特に、看護師長といった管理職に就いているナースは、模範となり得る看護師です。看護師長が仕事をしっかりとしていなかったり、矛盾のある指導をしていたりすると職場の不満も大きくなりチームワークが悪くなってしまうでしょう。
そして、どのようなときでも対処できる冷静な判断力も必要です。部署で何らかの問題が起こった際は、いち早くトラブルを解消するために動かなければなりません。管理者として冷静な対応が求められるでしょう。
2-3.長所・適性を見極める力
看護師たちの長所や適性をしっかりと見極める力も看護師長には必要な資質です。特に、大学病院や総合病院ではたくさんの看護師が働いており、それぞれの能力は異なります。1人1人の役割を認識し、適性に合わせた仕事を振り分けたり、苦手意識をなくすために知識を与えたりすることが、看護師長の役割でもあるのです。看護師それぞれがやりがいを持って働くことができるように、1人1人の長所を見つけて評価することが必要になります。
2-4.コミュニケーション能力
看護師長は看護師たちだけでなく、医師やほかのコメディカルと交流する機会も増えます。そのため、相手がどのような人であってもうまくやり取りができるようなコミュニケーション能力が必要になるでしょう。看護師としての意見を伝えることも大切ですが、他社の意見を傾聴する姿勢も持っておかなければなりません。逆に、相手の意見だけに流されてしまうのもよくないので、自分の意見も積極的に発信していく姿勢も求められます。
3.看護師長の仕事内容は?
ここでは、看護師長の主な仕事内容について解説します。
3-1.部署のマネジメントとスタッフの管理
看護師長の仕事内容は、部署のマネジメントとスタッフの管理が中心となります。看護師長はいわゆるその部署のトップとなる存在ですので、スタッフがスムーズかつ快適に働くことができるように部署の全体像を把握してはまとめあげなければなりません。看護部の目標を達成できるように、部署の目標を設定し一丸となって達成するための努力を働きかけることも看護師長の大切な仕事でしょう。また、スタッフ1人1人に目を向けるのも重要な仕事です。悩んだり困ったりしているスタッフがいれば、その人のケアも行います。体調面でのケアはもちろんのこと、精神面におけるケアもしっかりと配慮することが大切です。
3-2.トラブルの対処とスタッフのフォロー
看護師という仕事上、いつどこでどのようなトラブルが起きるのか分かりません。看護師長は責任者として、トラブルが発生したときは瞬時に現場へ向かい、対応をする必要があります。特に、スタッフと患者の間で発生するトラブルが多く、なかなか解決しない場合は看護師長が間に入らなければなりません。部署の管理者として冷静な判断を行うのはもちろんのこと、ミスをして落ち込んでいるスタッフのフォローも大切です。看護師長の業務も忙しいのですが、スタッフが少ない場合は看護師長自ら対応をすることもあります。
3-3.患者の把握も忘れずに
看護師長は責任者としてその場をまとめたり、看護師をフォローしたりすることになりますが、患者の把握も忘れてはならない大切な仕事です。病棟であれば入院している患者だけでなく、今後入院予定の患者や退院・転院・転棟予定のある患者もしっかりと把握しておかなければなりません。看護師長がしっかりと患者の把握をしておかなければ、ベッドコントロールができなくなってしまいますし、いざというときも対処できなくなってしまうからです。また、患者を把握するためには、サマリーが必要不可欠となります。患者の病歴・治療・看護などの情報を要約したサマリーは、部署で働いているスタッフ全員が情報を共有するためにも必要な書類です。
4.看護師長になるにはどうすればいい?
では、看護師長になるためにはどうすればいいのでしょうか。看護師長への道のりを詳しく説明します。
4-1.まずは看護主任を目指す
看護師として働いてからいきなり看護師長に昇進することはほとんどありません。まずは、看護主任を目指し、そこから看護師長に昇進するケースがほとんどでしょう。主任として経験を積むことで、次の段階である看護師長へとキャリアアップすることができます。看護主任はスタッフナースの上位にあたる管理職で、看護師長を補佐する業務が中心です。そのため、看護師長がどのような仕事をしているのか、どのような立場でスタッフナースをまとめているのか、最も近い場所で学びを得ることができるでしょう。
4-2.看護の総合力を鍛えよう!
職場によって異なりますが、中には昇進試験を導入している病院があります。主任を勤めてきた看護師の中から、看護師長としてふさわしい人を選ぶ試験です。勤続年数・看護師としてのスキル・人柄など総合的に判断して選ばれることが多いでしょう。そのため、看護師長になるためには着実に仕事をこなしていき、看護主任としての総合力を鍛えなければなりません。また、すでにその力を身につけているのであれば、昇進試験を行っている病院に転職するのも選択肢の1つでしょう。
4-3.専門資格を取得する
認定看護師といった専門資格を取得するのも看護師長になるポイントです。看護師には認定看護管理教育課程という教育体制がありますが、一貫した教育を受けることができます。ファースト・セカンド・サードと3つのレベルがあり、すべてを受講することで看護師長への昇進が近くなるのです。病院の中には、看護師長の候補になった主任看護師に対し、この教育課程に参加要請をするところもあります。専門資格を取得し、ほかの候補者とは違うスキルをアピールできるのではないでしょうか。
4-4.看護師長になるタイミングも重要
看護師長になるためには、そのタイミングも非常に重要なポイントとなります。いくら適正な人材だとしても、看護師長に空きがなければなることはできません。つまり、勤務している病院ですでに新しい看護師長が生まれている場合、すぐに空きが出ることはないでしょう。また、看護師長は看護師として15年以上の経験年数を求められることがほとんどです。自分が看護師歴15年を経過した際、まわりに同じような人がいないか、複数いたら自分の順位はどのくらいなのか把握する必要があります。
5.看護師長に関してよくある質問
看護師長に関する質問を5つピックアップしてみました。
Q.看護師長のやりがいとは?
A.1番のやりがいは、スタッフから頼られることで「看護師として認められている」という実感が湧くことでしょう。看護師としての満足感と達成感を得ることができるのは、看護師長といった管理職ならではのやりがいです。スタッフが悩んでいたり、トラブルが起きたりした際には、1番頼りにされる役職でもあります。必要とされている意識が、看護師長としてのスキルを磨き上げる要素にもなるのです。
Q.看護師長の年収はいくらぐらいか?
A.管理職になるため、一般的な看護師よりも収入は格段にアップします。職場環境にもよりますが、看護師長の平均年収は約740万円でしょう。全看護師の平均年収が約480万円ですので、かなり高い数字になっていることが分かります。ちなみに、世代別年収の平均をチェックしてみると、看護師長で50代が1番高く、約530万円です。看護師長になるメリットは給料が高い点もあげられるでしょう。
Q.看護師長に向いている人は?
A.看護師としての技術だけでなく、スタッフをまとめる立場で働きたいと思っている方は看護師長に向いているといえるでしょう。看護師長はあくまでスタッフをまとめる役割を中心に担っているため、管理職になるほど医療に携わる機会が減っていきます。つまり、マネジメントが中心になり、患者とのやり取りも少なくなるのです。看護師たちをまとめたい・看護に貢献したいと思っている方は、ぴったりの役職といえるでしょう。
Q.看護師長になるために必要なスキルは?
A.さまざまなスキルが必要だと説明してきましたが、看護師長になるためには上司との人脈づくりも大切な要素となります。看護師長として推薦を得るためにも、まわりにいる看護師たちや上司とのコミュニケーションを積極的にとっていきましょう。上司の立場になって考え、上司がやろうと思っていた仕事を先まわりしてできるようになれば、信頼が高まり推薦される可能性が高まります。
Q.転職先を見つけるコツは?
A.看護師転職情報サイトを活用するのがコツです。名前のとおり、看護師転職情報サイトは看護師に特化した転職サイトとなっています。普通の求人サイトには掲載されていない求人情報が載っていたり、看護師の転職に必要な情報を得たりすることが可能です。また、実際に看護師経験のあるスタッフがサポートしてくれるので、安心して相談できます。看護師転職情報サイトの「看護師キャリアアップ」ではさまざまな情報を載せているので、ぜひチェックしてください。
まとめ
看護師長の役割は、部署の責任者として、そこで働いているスタッフをまとめるのが主な役割となります。医療に携わるというよりも、スタッフをまとめ、一丸となって働くより良い環境づくりを行う仕事がほとんどです。ときには患者とのトラブルに対処したり、スタッフの悩みを聞いてあげてケアしたりすることもあります。幅広い視野と冷静さ、リーダーシップを必要としている管理職ですので、やりがいは十分に感じられるでしょう。