患者さんとじっくり向き合う看護を目指す。『療養型病院』への転職ポイントは?
看護師求人のカテゴリーで最近よく目にするのが『療養型病院』。
看護学生の頃に実習に行った経験もあるかもしれませんが、『療養型病院』とはどんな施設なのでしょうか。 『療養型病院』というのは主な病床が療養病床である病院のことです。
病床は医療法によって一般病床・療養病床・感染症病床・結核病床・精神病床の5種類に定義されており、感染症病床・結核病床・精神病床は特定の病気の患者さんが入院される病床で、一般病床は急性期の患者さんの為の病床、療養病床は慢性期の患者さんのための病床となっています。
一般病床の患者さんは急性期で手術や全身管理などが必要な濃厚な治療となり、入院期間も比較的短期(長くても約1ヶ月程度)ですが、療養病床の患者さんは、症状や徴候は比較的安定しているものの治癒困難な状態が続き、長期間の医師による管理や治療や看護が必要とされる患者さんのための病床なので、入院期間が長期に及び1年以上になることもあります。
療養病床と一般病床の違いは?
療養病床と一般病床では、スタッフの配置人員や設備面などでいくつかの違いがあります。 療養病床は、基本的に病状の落ち着いている患者さんが入院しているので、医師と看護師の配置基準が一般病床よりも少なくなりますが、一般病床では配置規定がない看護補助者が義務づけられています。それらのスタッフの役割に関しても一般病床では治療が中心となる医師が主となりますが、療養型病床では療養が中心となるため看護師や看護補助者が主となります。
また、設備にも違いがあります。一般病床では病気の発見や診断、治療行うために必要な医療機材・設備がそろっていますが、療養病床には基本的に療養に必要な基本的な医療機器や設備だけを設置しており、手術室が存在しない病院もあります。その代わりに病室や談話室を広めに設置するなど長期の療養生活に適した設備になっています。
療養型病院の看護師の仕事内容は?
療養型病院に勤務する看護師の仕事内容は一般病院と違うのでしょうか?
比較的病状が安定している患者さんが多いので医療補助的な仕事というより介護に関わる仕事が多くなります。急な入退院はまずありませんし、病状が急変することは少なく、一般病床にみられる日常の慌ただしい雰囲気とは違います。
また、長期入院の患者さんが多いので、患者さんとじっくりと向き合い深い関わりの中で看護を提供できる環境でもあります。急性期で必要とされるような看護技術を臨床の場で行うことは多くありませんが、患者さんの少しの変化も見逃さない観察眼や急変時対応等のスキルや知識はもちろん必要ですし、寝たきりや全介助が必要な患者さんでは褥瘡や皮膚トラブルのケア・おむつ交換や定期的な体位変換など業務は多岐に渡ります。
療養型病院では日々の業務は比較的落ちついており残業も夜勤も少なく、自分の時間を作りやすい環境にあります。残業や夜勤の多い一般病院に比べて年収的には低くなってしまいますが、時間を有効活用して資格取得やスキルアップを目指したり、家庭やプライベートを充実させられるという面もあります。
療養型病院への転職で気をつけたいこと
療養病床は医療保険が適用される『医療療養病床』と介護保険が適用される『介護療養病床』に分けられていますが、『介護療養病床』は2018年3月までに廃止になることが決まっており(※)、それまで介護療養病床を設置していた病院は介護療養型老人保健施設(新型老健)になってしまう場合もあり、転職後に療養型病院が介護施設になってしまうということもあります。療養型病院に転職する際には、医療療養病床なのか介護療養病床なのかを予め調べておく必要があるでしょう。
当初、2017年度までに全廃とする方針でしたが高齢化の進行とともに重度者が増えていく今後を見据え、厚生労働省は2014年8月の時点で方針を転換し、療養病床を事実上存続させる方針を固め、2018年(平成30年)に制度としての介護型の療養病床は廃止するものの機能は存続させる考えで、今後の具体的な検討を進めることになっています 。
高齢者が進む中で療養型病院の役割も大きくなりそこで働く看護師の需要も増えてきています。制度や名称が変わる事もありますし、病院によっては看護の質も大きく変わります。事前にしっかり確認しておく事が大切です。