精神看護のスペシャリスト。『リエゾンナース』を目指すには
様々なストレスにさらされている現代社会では精神的な問題を抱えている人が急増しています。
また、急激な高齢化に伴い老年期精神疾患も増えている状況の中、精神科看護分野の専門的な知識や技術・実践能力を持つ看護師の需要が高まっています。
精神看護学を専門的に学ぶ『リエゾン精神看護専門看護師』。
『リエゾン(liaison)』とはフランス語で“連携・連絡”という意味を持ち、 精神看護においては“橋渡し・つながり”という意味で使われています。リエゾンナースは、精神科看護の知識や技術を一般身体科(内科・外科等)に応用し、精神的な障害や疾患を持つ患者さんやその家族の精神的ケアをはじめ精神科と一般心療科とを繋いだり患者さんと医師とのコミュニケーションを円滑に進める事はもとより、看護師の相談やケアを行って病院内のメンタルヘルスを支援するという使命を持ちます。
リエゾンナースになる方法
リエゾンナースになるには、1.専門資格・認定資格を取得する、2.各医療機関独自のリエゾンナースとして働くという2つの方法があります。
専門資格としては、日本精神科看護技術協会が認定する『精神科認定看護師』や
日本看護協会が認定する『精神科専門看護師』があり、それぞれ定められた条件をクリアし試験に合格する必要があり、資格取得後はリエゾンナースとして働くことができます。
また、それらの資格がなくても医療機関が独自に基準を設定しているリエゾンナースとして働く場合もあります。なかには資格取得やスキルアップのためにそうした医療機関で経験を積んでいる看護師もいます。いずれにしてもリエゾンナースとして働くためにはそれなりの努力や経験が必要なのです。
リエゾンナースとして重要なこと
リエゾンナースとして働く上で何が大切なのでしょうか。精神看護では患者さんとの「共感」がとても重要になるのですが、「共感」はとても難しいものです。患者さんが体験している苦悩を患者さんの立場で理解し、これまでの人生や今の状況をしっかりと把握していなければなりません。その上で患者さんが本来持っている適応力を信じて、元気を取り戻していくのを見守っていくことが必要です。そのためには何より患者さんの話をよく聞き、心を開いてもらえるようなコミュニケーション能力が必要となります。
また、患者さんへの対応で悩んでいる看護師をフォローすることもリエゾンナースの役割です。看護師の中には懸命に患者さんやご家族をケアする一方で、看護師自身がうつ状態やPTSDになって精神的に病んでしまうことがあります。本来ケアする立場の看護師が病んでしまい、早期離職やバーンアウトも多い現状で、現場の看護師がどんなことに悩みどんな気持ちでケアしているのかに耳を傾けながら、一緒にケアの方針を考えたり、解決の糸口をアドバイスし看護師自身がやりがいを持って働けるように看護師やスタッフを支援することも、患者さんにより良いケアを提供するために重要なことです。
精神的なケアはどんな患者さんに対しても必要なことです。リエゾンナースは患者さんをはじめ患者さんをケアする看護師までをも丁寧にケアすることによって、より良質な医療を促進するために重要な役割を担っており、今後ますます必要とされるスペシャリストといえるでしょう。