活躍の場は日本全国!応援ナースという働き方
応援ナースとは10年ほど前から行われている看護師の派遣スタイルで、人手が足りない地域の医療機関に数ヶ月単位で働くナースのことです。
慢性的な看護師不足は社会問題になっていますが、特に過疎化の進む地域や離島においては、医療関係者がほとんど存在しない町や村、医療施設そのものがなくなった地域も急増しています。
また、都市部においても一時的(緊急)に看護師が必要となった医療機関に対し登録している全国の看護師が期限付きで応援ナースとして働きに行く場合もあります。
「煩わしい人間関係が少ない」「自分の仕事を正当に評価してもらえる」「自然豊かな環境でリフレッシュできる」など、一度応援ナースとして働くとその後も雇用継続を重ねたり別な地域を希望したり、また気に入った場所に定住してしまう看護師も多いのです。
応援ナースに必要な資質とは
特に離島などの応援ナースとして働く場合には、勤務環境や生活環境が一変するため、慣れるまでは精神的・肉体的ストレスを感じやすいという問題もあり、ホームシックの様な感覚に襲われる事もあるようです。 医療従事者が少ないので、1人で多くの業務をこなす必要があります。老若男女・急性慢性問わず、柔軟に対応できる知識と技術が必要で、ある程度の実務経験が求められます。
また、場所によっては都市部の医療機関と比べ機材や設備も数年の遅れを感じることもあります。実際の業務では予算が厳しいために院内で装着するマスクやディスポ手袋などの消耗品なども限られており、特に大学病院や公立の総合病院での勤務経験しかない看護師にとってはカルチャーショックを受ける事が多い様です。
緊急度の高い患者さんは本土までドクターヘリなどで移送しなければなりませんし、異常が合った場合は本土の病院での受診・転院などになる場合もあり、医療格差を目の当たりにする事も多々あります。
また、多くの応援ナースが最初に直面するのは、特に高齢の患者さんの方言が強くて、何を言っているのかわからないという問題です。狭い社会で患者さんもその家族も医師も看護師もみんなが顔見知りという環境の中、自分だけが日常会話すらわからず患者さんとのコミュニケーションも取れなくて悩んでしまうことが多いのです。
しかし、時間をかけて地元の言葉を覚え患者さんと向き合っていくうちに、お互いの信頼関係が築けていけるものです。医療環境はもちろん時間の流れも人の暮らしや関係性も都市部とはかなり違いますから、臆することなく新しい環境を楽しむくらいの適応力の高さが必要でしょう。
応援ナースになるには
応援ナースとして派遣されるには応援制度を持つ看護師専門の人材バンクに登録する必要があります。 即戦力として働けるだけのスキルがあることが条件ですが、派遣先(赴任先)は北海道・沖縄・九州・東京などの離島や都市部など自分が働きたい地域を全国から選べます。
応援ナースの雇用条件は非常に好待遇です。期間は3ヶ月~6ヶ月程度の短期間で退職金はありませんが、1か月の給与は最低30万円以上保証、すぐに働けるように寮やアパートなど住むところも準備されていますし、引越費用なども負担してくれるケースもあります。(詳細条件はそれぞれ異なりますので事前に確認しましょう)
派遣先の医療機関は応援ナースの受入れ体制やサポートが整っているケースが多いので、比較的スムーズに入職することができる様です。
離島など大自然に囲まれた地域では、休日や夜勤明けの時間を使ってマリンスポーツやウィンタースポーツなどを満喫することも可能で、プライベートを充実させられるのも魅力のひとつです。
一方、応援ナースという働き方はある程度のフットワークの軽さが必要となります。一定期間、生活の拠点を移さなければならないため、家族や小さい子供がいる場合は難しいでしょう。
いろんな場所でチャレンジできる若いうちに応援ナースという働き方を通じて、様々な医療環境のもとで経験を積んでおく事は看護師を続けていくうえでの貴重な糧となるはずです。