脳出血の看護について知りたい!

脳出血の看護について知りたい! その方法や注意すべきポイントは?

元看護師のゆかり

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脳出血は、日本人に多い脳疾患です。出血した場所によっては、すぐに命にかかわることもあるでしょう。また、命を取りとめても、運動機能などに障害が残ることもあります。脳出血を起こした人の看護は、いくつかの段階に分け、観察・ケア・指導等個別の計画を立てて実行することが大切です。
今回は、脳出血の看護やケアについて解説しましょう。

  1. 脳出血の基礎知識
  2. 脳出血の治療方法
  3. 脳出血の看護やケアについて
  4. 脳出血の看護に関するよくある質問
  5. おわりに

この記事を読めば、脳出血を起こした人の看護に関わるときの参考になります。看護師や、家族が脳出血を起こしたという人はぜひ読んでみてくださいね。

1.脳出血の基礎知識

はじめに、脳出血とはどのような病気か解説します。ほかの病気との相違点はなんでしょうか?

1-1.脳出血とはどのような病気?

脳出血とは、何らかの原因で脳内の血管が破れ、出血する症状のことです。出血した部位や原因によって、くも膜下出血などの病名がつくこともあります。最も出血しやすい場所は、被殻(ひかく)という部分です。脳出血全体の40%が被殻で、次いで視床が30%、大脳皮質・小脳・橋と続きます。

1-2.脳出血の原因

脳出血の主な原因は高血圧です。高血圧になると血管にかかる圧力が上がり、血管の壁がもろくなっていきます。その結果、微細動脈瘤(びさいどうみゃくりゅう)というコブが発生し、何かの拍子にコブが破れて脳出血が起こるのです。つまり、高血圧の人が高齢になるほど脳出血のリスクはあがっていきます。また、脳動静脈奇形(のうどうじょうみゃくきけい)やもやもや病などが原因で、脳出血が起こることもあるでしょう。

1-3.脳出血の症状

脳出血の症状は出血した場所によって異なります。たとえば、前頭葉から出血すれば手のしびれなどの運動麻痺や顔面麻痺が、症状として現れるでしょう。出血した場所が呼吸など生命維持に欠かせないものをつかさどっている場合は、出血した直後に死亡することもあります。また、いきなり意識を失っていびきをかき始める症状が出ることもあるでしょう。このほか、脳出血が少量ずつ起こっている場合は、めまい・体の麻痺・言葉が出ないといった症状が出ることもあります。

2.脳出血の治療方法

脳出血は命にかかわる病気です。発生したらすぐに治療をすることで、死亡率は下げられます。治療方法は、降圧剤や脳のむくみを取る薬の投与が行われるほか、開頭して出血を止めたり、血の塊を取り除く手術をすることもあるでしょう。命の危険が去ったら、後遺症の改善や予防のためにリハビリを行います。

3.脳出血の看護やケアについて

この項では、脳出血の看護やケアについて解説します。ぜひ、参考にしてください。

3-1.急性期の看護

急性期とは、患者さんに命の危険がある状態です。そのため、生命の維持が看護の主体になります。看護は、OP(観察項目)とTP(ケア項目)がありますが、急性期のOPは呼吸状態・バイタルサイン・瞳孔の状態・運動麻痺の程度などの観察が重要です。一方、TPでは血圧管理・体温管理・排泄管理・体温管理を行います。また、患者さんに意識がある場合は本人に、ない場合は家族に病状の説明を行うことも大切です。

3-2.急性期看護のポイント

急性期の患者さんは、病状が急変して全身状態が悪化することも珍しくありません。そのため、体の異変を素早く察知できるかが看護のポイントです。

3-3.慢性期の看護

慢性期とは、症状が落ち着いて命の危険がなくなった状態です。前述したように、脳出血は体の麻痺や言語障害・記憶障害などの後遺症が残ることも珍しくありません。そのため、血圧のコントロールや内臓疾患の治療と共に、患者さんが自発的にリハビリテーションをように看護を行っていきます。OPは、運動麻痺の有無や程度・関節の状態・日常生活がどの程度できるかなどが重要です。TPは、褥瘡(じょくそう:床ずれ)予防・日常生活の介助・体位変換やリハビリなどが中心になります。

3-4.慢性期看護のポイント

慢性期看護では、患者さんにリハビリの必要性と大切さを理解してもらうことが重要です。リハビリの必要性を患者さん本人や家族によく説明しましょう。また、脳出血は一度発症すると再発しやすくなります。そのため、血圧の管理や食生活の指導なども看護の一環です。

3-5.注意点

脳出血は、なんの前触れもなく発症することも珍しくありません。そのため、患者さんはもちろんのこと、家族も動揺していることが多いでしょう。急性期にはとにかく生命の維持が第一です。3-1で説明したようなOPにより、異常にいち早く気がつくようにしましょう。一方、慢性期の看護は脳出血発症前と同じような生活を、患者さんがおくれるようにするのが目標です。患者さんの声に耳を傾けながら、リハビリを促していきましょう。

4.脳出血の看護に関するよくある質問

Q.慢性期の患者さんで、検査結果に異状はないのに痛みや不快感を訴えています。
A.検査結果にでないからといって、痛みや不快感を「気のせい」と片付けることは乱暴です。なぜ、患者さんが痛みや不快感を覚えるのか、その原因を探りましょう。

Q.リハビリにやる気が出ない患者さんがいます。
A.動けるようになったら、こんなことをしましょうなど、プラスに感じられる目標を設定してみるといいでしょう。

Q.日常生活の介助をどこまでしていいか悩みます。
A.新人看護師の場合は、先輩に相談してみるのも1つの方法です。

Q.家族の相談に長い間耳を傾ける時間がありません。
A.ケースワーカーやソーシャルワーカーで対応できる問題であれば、相談を代わってもらいましょう。

Q.脳出血を予防するにはどうしたらいいですか?
A.受け持ちの患者さんに高血圧の症状が出ている場合は、食生活・生活習慣の改善や脳ドックをすすめるなど、予防医療に力を入れてみましょう。

5.おわりに

いかがでしたか? 今回は脳出血の看護やケアについて解説しました。脳出血は命に危険があり、一命をとりとめても発症までの生活に戻るまでに時間がかかります。また、人によっては発症前の生活に戻ることが難しくなるでしょう。ですから、看護にもさまざまなアプローチの方法があります。新人看護師は先輩の指導を受けながら、最良の看護を探していきましょう。

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