透析療法指導看護師
透析看護のスペシャリスト
透析療法士同看護師とは、透析療法の臨床看護の質向上に主体的に取り組める看護師の育成を通じ透析看護の充実を図るために、日本腎不全看護学会・日本透析医学会・日本腎臓学会・日本移植学会・日本泌尿器科学会の5つの学会が合同で認定している資格です。2003年からスタートした比較的新しい認定資格です。
透析療法士同看護師の受験資格
引用元 -日本腎不全看護学会
- 看護師免許を有していること(准看護師は不可)
- 日本腎不全看護学会の会員になり、3年以上を継続していること
- 腎不全領域に関する看護の実務経験が通算で3年以上あること
- 看護師の実務経験が5年以上あること(上記の経験3年以上を含む)
- 腎不全領域(CKD・血液透析・腹膜透析・腎移植)での看護実践例を3つ提出すること(※指定フォーマット有り)
- 学会や研修会などに参加して得られる点数が、30点以上あること
透析療法指導看護師の仕事
透析療法指導看護師は、腎不全の進行によって人工透析・血液透析が必要となった患者さんとその家族に対し、透析療法に関する説明や日常の生活指導を行うスペシャリストで、透析看護の分野での幅広い知識と高い技術力が求められます。(2014年現在、全国で1057人が透析療法指導看護師として登録。)
透析患者さんによっては週3日・4〜5時間かかる透析治療をほぼ永久的に受け続けなければならず、身体的にも精神的にも非常に大きな負担がかかります。それらの負担や苦痛を和らげ、安心して安全に透析を受けられる治療環境づくりが透析看護にとっては何より大切です。
そのためには、心不全に関する知識や透析治療の技術力(機械操作/プライミング/穿刺・抜針・止血/バイタルチェック/患者の健康管理指導など)はもちろんのこと、患者さんとの信頼関係を築き、それぞれに合った生活習慣・健康管理指導など総合的なケアを行うことが必要となります。患者さんと接する時間や機会が多いため、コミュニケーション能力は必須です。
業務範囲
透析療法において個別的ケアの実践と評価
腎不全療法に関する知識と技術を持ち安全な治療環境の提供
患者の長期療養生活を効果的に支援
医療チームに対しての指導
透析療法指導看護師の活躍の場
有資格者は、透析治療を行っている病院や透析クリニックなどで高い専門性を有する看護師として活躍しています。その他にも、透析に関する治験(臨床試験)を行っている研究機関もあります。
透析療法指導看護師の将来性
透析医療に関わる資格としては『透析療法指導看護師』『透析看護認定看護師』『透析技術認定士』があります。『透析看護認定看護師』と『透析技術認定士は』、既定の単位を習得し、研修・経験により受験資格が与えられますが、透析療法指導看護師の受験資格は、看護師歴5年以上、腎不全の看護歴が3年以上、腎不全看護実例3例の提出、学会への出席や業務内容を発表していくことでのポイントが30ポイント以上となっています。学会などへの参加は人出が限られている病院では難しいケースもあり、受験資格の点から見ると、透析療法指導看護師はハードルが高いかもしれません。今の職場で資格取得のための理解とサポートをどの程度得られるのか、事前に確認しておく事が大切です。
現状では、透析療法指導看護師の年収・待遇は一般病棟勤務の看護師よりも多少高めとされています。患者の移送などの肉体労働は少ないし、夜勤や祝日・日曜出勤などもほとんどありません。
有資格者であれば多少ブランクがあっても、復職はしやすく年齢制限も少ないようですから、看護師としては安定した職場と言えるかもしれません。一方、長期治療となる透析の患者さんは顔なじみで慣れた看護師を好む傾向にあり、長期間継続して勤務することが望まれています。
透析患者は全国で約30万人を超えると言われています。
治療を行わなければ健康・生命を維持する事が困難な患者さんが多く、透析医療における透析看護師による看護ケアは、それらの患者さんのQOLの向上のために今後ますます期待されていきますし、透析療法指導看護師の資格があれば看護師としての需要も高まっていくと考えられます。